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日々ふと思うことを徒然なるままに書き綴る個人的エッセイあるいは回想録。
(本当はもっと前に書き上げていた記事なのですが、何となく心の整理がつかなくて、UPできずにいました。)
 
いつもと全く同じように会社に出た今日、同僚の訃報を聞きました。
 
フィクションの世界では、死の前にはそれらしい予兆があり、本人も周りも薄々それを察しているものなのに……
 
現実には心の準備も予想もしない、全くの不意打ちです。
 
突然の訃報なんて、今までに何度も聞かされてきたのに……いつまで経っても、慣れることも予想することもできません。
 
入院したことは知っていましたが、一度は復帰もし、次は検査入院だと聞いていたので「経過観察だろう」くらいに思っていました。
 
それが、思いの外長く会社を休んでいて「あれ?」とは思っていました。
 
ですが、それほど深刻な状況だったとは、これっぽっちも考えていませんでした。
 
死に至る病のイメージと言えば、病院で長く闘病しているものなのに……
 
現実は、最初の入院を知ってから三ヶ月も経たないくらいの、あっと言う間の出来事でした。
 
仕事に追われていると長い不在も忘れてしまうくらい、あっと言う間の短い期間……。
 
そのあまりの短さに、あまりにも現実感が無くて、仕事をしながら「朝礼のあれは幻聴だったのでは?」と思ったりもしました。
 
しかし、午後には不在のデスクに花が飾られ、それが視界に入るたびに現実を突きつけられました。
 
他人の死に接した時、自分の感情をどういう風に処理したら良いのか、未だに自分は分かりません。
 
きっと社会人としては、悲しむべき場ではきちんと悲しみ、それ以外の場では気持ちをぱっと切り替えられるのが「正しい」のだろうと思います。
 
ですが人間の心は機械のオンオフのように、ぱっと切り替えができるものではありません。
 
今日は仕事中もとりとめなく「最後に交わした言葉って何だったっけ」「最後に見たのはどんな顔だったっけ」など、様々な記憶や思いが浮かんでは消えていました。
 
特別親しかったわけではない、ただ席や名前の順番が近かっただけの同僚……。
 
それでも、ついこの前までそこにいた人間が、もう永遠に帰って来ないというのは、あまりにも重い現実です。
 
花の飾られたデスクには、使い古された辞書や椅子の腰当クッションがそのまま残されていました。
 
きっと、また帰って来て、普通に仕事をするつもりだったんだろう……そう思うと、切なくてなりません。
 
あと一週間も経てば、桜の咲く季節になったのに……
 
今年の桜も見られないまま逝ってしまうなんて、きっと本人を含め誰も予想もしていなかったでしょう。
 
人生は儚いもの、予想がつかないものと聞かされていても、忙しない日々の中ではついついそれを忘れてしまいます。
 
そして、ふいの訃報に遭ってやっとそれを思い出す……いつも、それの繰り返しです。
 
仕事に追われて嫌になる日も、退屈で飽きてしまう日も、逃げ出したくなるような日も……それはあの人が、生きられなかった一日。
 
毎年めぐって来る当たり前の光景も、あの人や、他の誰かが、見られなかった光景。
 
今年の桜は、きっといつも以上に、切なく綺麗に見えるような気がします。

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津籠睦月(つごもりむつき)
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社会人(毎日PCを使う仕事。残業も休日出勤も普通にあります。)
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ファンタジー、冒険、恋愛、青春、推理、濃い人間ドラマの展開するモノ。
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